official site facebook twitter
amazarashi BEST ALBUM
2017.03.29 RELEASE
ベストアルバムをリリースします。

全ての曲に対して強い思い入れがある為、収録曲に関してはとても悩みました。結果、今後歌い続けるであろう曲たちを選びました。
未だamazarashiと出会ってない人の為の一枚、というふうに考えております。

「メッセージボトル」というタイトルは、アマチュア時代に始めて主催したイベントのタイトルです。
その時の僕らの歌は宛のない手紙であり、願いであり、SOSでした。

あの日漕ぎ出した僕らの歌の漂着地点が、今のリスナーです。
そしてここから、今日からの船出の無事を祈って、未だ見ぬ人に出会えるよう願いを込めて「メッセージボトル」

どうか誰かに見つけてもらえますように。

amazarashi 秋田ひろむ

amazarashi 誦読『つじつま合わせに生まれた僕等 2017』 Music Videoplay

『ヒーロー』 Music Videoplay

REVIEW 秋田ひろむ 全曲解説

DISC 1

  • 1.光、再考
  • 2.つじつま合わせに生まれた僕等
  • 3.夏を待っていました
  • 4.無題
  • 5.奇跡
  • 6.ワンルーム叙事詩
  • 7.さくら
  • 8.この街で生きている
  • 9.空っぽの空に潰される
  • 10.美しき思い出
  • 11.ラブソング
  • 12.ナモナキヒト

DISC 2

  • 1.ジュブナイル
  • 2.性善説
  • 3.終わりで始まり
  • 4.冷凍睡眠
  • 5.スターライト
  • 6.ひろ
  • 7.季節は次々死んでいく
  • 8.スピードと摩擦
  • 9.多数決
  • 10.ライフイズビューティフル
  • 11.僕が死のうと思ったのは
  • 12.命にふさわしい
  • 13.ヒーロー
  • 14.つじつま合わせに生まれた僕等(2017)
RELEASE INFO
完全生産限定盤(スペシャルパッケージ)

完全生産限定盤(スペシャルパッケージ)

AICL 3302~6 ¥5,800 (tax out))
3CD+DVD+変形A4サイズ布貼り上製本
amazarashi詩全集、小説、イラスト集
あまざらし miniAL「光、再考」
初回生産限定盤

初回生産限定盤

AICL 3295~3299 ¥3,800 (tax out)
3CD+DVD+CDサイズ上製本
小説
あまざらし miniAL「光、再考」
通常盤

通常盤

AICL 3300~3301 ¥2,800 (tax out)
2CD

DISC 1

  • 1.光、再考
  • 2.つじつま合わせに生まれた僕等
  • 3.夏を待っていました
  • 4.無題
  • 5.奇跡
  • 6.ワンルーム叙事詩
  • 7.さくら
  • 8.この街で生きている
  • 9.空っぽの空に潰される
  • 10.美しき思い出
  • 11.ラブソング
  • 12.ナモナキヒト

DISC 2

  • 1.ジュブナイル
  • 2.性善説
  • 3.終わりで始まり
  • 4.冷凍睡眠
  • 5.スターライト
  • 6.ひろ
  • 7.季節は次々死んでいく
  • 8.スピードと摩擦
  • 9.多数決
  • 10.ライフイズビューティフル
  • 11.僕が死のうと思ったのは
  • 12.命にふさわしい
  • 13.ヒーロー
  • 14.つじつま合わせに生まれた僕等(2017)

DISC 3

※完全生産限定盤、初回生産限定盤のみ あまざらし「光、再考」
  • 1.光、再考
  • 2.少年少女
  • 3.真っ白な世界
  • 4.隅田川
  • 5.ドブネズミ
  • 6.未来づくり

DVD

※完全生産限定盤、初回生産限定盤のみ amazarashi BEST ALBUM「メッセージボトル」
Special Movies
  • 1.ポエジー
  • 2.ラブソング
  • 3.カルマ
  • 4.スターライト
  • 5.しらふ
  • 6.美しき思い出

1.光、再考

初期の曲で、amazarashiの音楽性、方向性を決定づけた曲です。それまでの人生の全てを歌おうと思って作ったのを覚えてます。作り方としては、八小節完結の歌詞をばーっと沢山作って、多分完成形の倍くらいの量の歌詞を思いつくままに書いて、それからいいと思ったやつだけを組み合わせて、順番を考えて並べて、っていう作り方でした。コードもずっとループで、当時はフォークを意識してたんですけど、フォークにもなれないという変な歌だと思います。今思えばとてもヒップホップ的な作り方だと思います。

2.つじつま合わせに生まれた僕等

“風が吹けば桶屋が儲かる”的な歌詞を書けないかなと思ったのが最初の発想だったと思います。小さな何でもない情景から始まって、それが今現在の自分と繋がって、最後に未来を描く、ということがやりたかったです。歌詞の全てに関して辻褄を合わせるっていうテーマでもありました。最初はいまいちかなと思ってた曲で、でもライブでやったらライブハウスのオーナーがとても褒めてくれて、「これでいいんだ」って自信が持てた曲です。そういう意味ではこの曲もamazarashiの形を決定づけた曲です。

3.夏を待っていました

当時住んでたむつ市の家の裏に廃線なった線路があって、よくそこを散歩してました。暑い夏で、スタンドバイミー的な情緒で作った歌です。わい自身の子供の頃の記憶も混ざって郷愁的な部分もあるけど、当時の閉塞的な生活の切羽詰まった感じがにじみ出てると思います。この頃から歌詞を物語的な手法で書くのにはまっていったと記憶してます。あと、メジャーデビューアルバムのリード曲なんですけど、ラジオでかけられないんじゃないか?ってちょっともめた記憶があります。アルバムタイトルも「爆弾の作り方」だし。この曲をリード曲でOKしてくれるスタッフとだからこそ、ここまでやれてるんだと思ってます。

4.無題

これも物語的な歌です。北野武の「アキレスと亀」にとても影響を受けてます。当時は純粋なラブソング、悲恋の歌として作ったんですけど、作り手としての想いが強く出てると思います。自分の作った物の価値の拠り所ってどこに置くか迷うんですけど、他人の評価って流動的だし「でも流動的だからこそ、そこに評価されることに価値がある」っていうのもあれば「不変である自分がいいと思ったものこそ価値がある」とか、色んな考え方があると思うんですけど、こういう歌を作りながら自分のアイデンティティーを模索してたのかなあと思います。

5.奇跡

曲調からは感じられないと思うんですが、わりとやけっぱちに作った歌で、なんでも奇跡奇跡歌ってなきゃやってられない、みたいな気持ちでした。世の中奇跡だらけだったら奇跡に何にも価値なんてないですよね。

6.ワンルーム叙事詩

この曲もやけっぱち、ストレス発散に近い歌です。この時期はフラストレーションが溜まってたんだと思います。家って生活の拠点で中心で、それを燃やすってことは何かしら変えたい、ここから抜け出したい気持ちの現れだと思います。ミドルテンポの曲ですけど、ライブだと意外とテンションが上がる曲です。

7.さくら

東京で暮らしていた時期を思い出しながら作った曲です。工事現場で日払いのバイトしてて、当時のバンドのボーカルとビル解体現場の屋上に上って、隠れてさぼってた情景から始まります。これを歌っていると当時の景色がまざまざと浮かんできます。大切な曲です。夢、友情、恋愛、わいなりの青春の歌かもしれません。

8.この街で生きている

友達の歌。東京に住んでる元バンドメンバーに向けて作った歌です。それとは別に、これを作ってる時期に、青森に住んでる友人が仕事の関係で東京に引っ越すことになって、最後のサビの歌詞を変えて「旅立つ君の影が」になったと記憶してます。元の歌詞は覚えてません。中々会えない友達全員に向けて歌ってます。

9.空っぽの空に潰される

これを作った時期に悩んでたのは、音楽をやって認められたら幸せになれると思ってて、実際リスナーも増えて(“受け取った手紙”というのはリスナーからの手紙です)生活も楽になりつつあって、でも空っぽな感じは拭えなくて、みたいなことでした。今でも周期的にあるんですけど、何をやっても、褒められても空しいっていう気持ちを書いた歌です。この歌で空しさとは決着を付けようと思ったんですけど、未だに勝てませんね。もう風邪みたいなものだと無理矢理納得してます。

10.美しき思い出

「ありがとうありがとう大嫌いだよ美しき思い出」が全てだと思います。感傷的な歌です。わいの思い出のコラージュみたいな歌詞です。いいことも悪いことも全部歌ってます。

11.ラブソング

「零歳の詩人」という本を読んで衝撃を受けて、この歌詞を書きました。事実を肌で感じるように言葉で書くのはとても難しくて、わいもいつかは歌でそういうことができたらなと思います。
皮肉の歌なんですけど、別にわいがラブソングが嫌いということではなくて、常套句を並べたラブソングぶったものばかりだと、ラブソングの価値が、愛の価値が下がるんじゃないか、という歌です。

12.ナモナキヒト

渋谷でライブの日に、AXだったか渋公だったか、渋谷駅から歩いて会場行くとき、すれ違う人がもしかしたらお客さんなのかもなとか考えて、その時の不思議な気持ちが出発点で作った歌です。朝の出勤のだるい感じとかが歌詞に出てるのはそのためです。なんだかんだややこしく考えてしまうんですけど、わいもお客さんに救われてる部分は少なからずあって、そういうものが出てしまった曲だと思います。

1.ジュブナイル

色んなところで書いたとおり応援歌です。ただかなり自分の経験に即した部分が大きいので、自分を励ましたい気持ちが濃く出てる気がします。「どうせ誰も助けてくれない それを分かって始めたんだろう」の部分とか、完全に自分に向かって言ってます。
 映画や小説で、弱者の成長物語とか、自尊心を失った人間の自己実現とか、よくあるテーマなんですけど、例えば、貧乏な主人公がただの拝金主義になってハッピーエンドとかとても頭にくるんです。根暗でオタクな主人公が体育会系スクールカーストの頂点に立ってハッピーエンドとか、馬鹿馬鹿しいと思うんです。自分のコンプレックスを抱えたまま自己実現する、というのが本当の意味でのハッピーエンドだと思います。そういう曲をずっと作りたかったんです。そういう意味での「君らのジュブナイル」で「物語は始まったばかりだ」です。
 あとPVについて。いつもYKBXさんのPVには驚かされるんですが、主人公の少年が創作に苦悩して、てるてる坊主の怪物に教われるシーンとかYKBXさん自身の生み出す苦しみの心象風景でもあるのかな、と思いました。勝手な想像ですが。それだけ凄みがあって胸が苦しくなる映像でした。

2.性善説

「馬鹿な男の下世話な自慢話に 子供を連れ車両を変える母親を見たよ」の箇所が全てです。これを言いたいが為の曲だと思います。東京の電車ではたまにびっくりする光景を見ます。これも実際みた光景です。
 電車のくだりとか、寝起きに明るいニュースを探す感じとか、とてもわいの日常に近い世界観で、その一方でどこかの母親と子供の会話が進んで、最後の一点に集約していく形です。途中から「ねえママ」と言っているのがわい自身に変わります。歌詞の構造としては前からやりたかった事なんですが、今回やっとできました。
 人間の価値観は人との関わりで変わると思うんですが、その原風景としての象徴が「ママ」です。

3.終わりで始まり

これはライブ終演後にも流したし、以前「0.7」にも弾き語りで入れたし、早くリリースしたかったんですけど、アルバムの全体像で考えると前作にはちょっと合わないかな、とか考えてタイミングを逃しちゃったりして、ようやく今回入りました。
どうしても歌ってると、DVD撮影でスタッフみんなで青森来た事を思い出してしまいます。おかげで歌詞とは裏腹に楽しい思い出の曲になってしまいました。
今更ここで解説する事もないですよね。
入れるなら絶対アルバム締めくくりの曲だって思ってました。

4.冷凍睡眠

これは逆に思いっきりファンタジーな曲です。こういう長編のポエトリーリーディングは何度か挑戦してたんですけど、今回初めて上手くいった気がします。自分の方法論を見つけた気がします。何か感情を乗せた歌というよりは、自分の表現方法を模索して作った歌で、今回の中では実験的な曲だと思います。
最近ヒップホップをよく聴く様になって、歌詞についての考えが自分の中で更新されつつあって、amazarashiの文章量の多い歌詞は今までフォークの影響だったと思うんですが、ヒップホップ的な文章の詰め込み方もあって、例えば韻を踏むからこその倒置法とか、そういう違いも面白いなとか考えてたりしたので、そういうのを色々試しながら作ってた気がします。

5.スターライト

これは昔の曲だっていうのは日記にも書きましたね。特別書き足す事はないかな。昔の代表曲であり、デビューのきっかけの曲です。路上ライブやってた時はこの曲を演奏してると足を止めてくれる人が多い、みたいな事もありました。

6.ひろ

これも以前日記で書いた気がします。十九歳で死んだ友達の歌です。不良でドラマーで皆に好かれる友人でした。友人に向けた手紙の体で、わい自身の現状を顧みる歌です。

7.季節は次々死んでいく

この曲はメロディー先行で作って、デモの段階からバンドサウンドで作って疾走感のある感じでした。歌詞は五反田で思いつきました。
レコーディングやライブで東京行くと、「なんでこんな所に居るんだろう」と思う事がよくあって、五反田を歩いてる時の場違い感とか、そういう感情が歌詞を書くスタートだったと思います。
その場違い感を感じる時に、自分は流されてるなと思う事があって、それはネガティブな意味じゃなく、自然な流れとして。
田舎の引きこもりが最高な音楽を作りたくて、仕事もせずにそればっかりやってたら、東京の立派なスタジオでレコーディングできたり、その帰りに客引きされたりしてるんだから不思議だなーっていう。
「日の目を浴びずとも、やりたい事をやるんだ」という気持ちでやってたら季節も状況も変わっていた、という歌だと思います。

8.スピードと摩擦

この曲は、定型の詩を書いてみたかったので、始めに詩を書くルールから考えました。母音“e”で韻を踏むのと、文章の区切りの文字数を決めて、そこから作りはじめました。
 限られた制限の中で作るっていうのは以前からもやっていて、例えばタイトルやテーマを始めに決めてから作るとか。自分の中で常套になった言い回しとか、癖みたいなものを避けるのに丁度いいやり方です。今回も今までにない歌詞を書いてみたくてこんなやり方をしました。

歌詞の意味については言い過ぎるのもよくない曲だと思うんですが、命が限られてる中での焦りみたいな、急がなければという気持ちと、これ以上急いだら危険だという気持ちが葛藤する歌です。命がテーマなんですけど、それは人生とも言い換えられるし、生活とも言い換えられます。そういう幾つかの視点から終わりを見据えた歌詞になってます。

9.多数決

日記に歌詞の一部を載せたと思うんですが、そのときにはほぼ完成してました。最近の画一的な価値観に対する憤りを歌にしました。昔から言ってきたようなテーマなんですけど、サビの「賛成か反対か」ってフレーズが出てきたときに、これ歌うしかないなという感じでした。今回の重要なキーワードである「百年後」というのも作ったときは意識してなかったんですが、無意識の中に漠然とした不安があって、その不安の正体を探る、というのがアルバムを通してやりたかったことです。

10.ライフイズビューティフル

人生の歌です。こういう“今までの人生のまとめ”みたいな曲はわいにとって大事な意味があって、今までも何個か作ってきました。「光、再考」や「美しき思い出」や「終わりで始まり」などです。でもこういう曲ってそんなポンポンできるものじゃなくて、2、3年に一曲できればいい方なので、今回こういう曲ができて嬉しいです。アルバムの中では一番前向きな、ポジティブな推進力がある曲ではないでしょうか。

11.僕が死のうと思ったのは

中島美嘉さんに曲提供したことで、とても人気曲になりました。弾き語りで歌ってたりしたんですけど、その度に場の空気が変わる感じがあって、なにか僕の中でも特別な歌になっていった感覚があります。いつかリリースできたらと思ってたんですが、今作はamazarashiとして一区切りになると思ったので収録しました。

12.命にふさわしい

『ニーアオートマタ』とのコラボなんですが、そのままニーアの世界観で歌を作ってもamazarashiらしさはだせないと思ったので、自分たちの生活、人生と重なる部分はどこだろうというところから考えました。そこから“全てを投げ出してでも守りたいもの”“命にふさわしいものとは”“心とは”などのテーマで曲を作りはじめました。
“心さえなかったなら”というフレーズが出来て、そこからは割と安産でした。すらすらと完成できました。
ニーアシリーズはSFファンタジーなので、amazarashiの泥臭いところとか俗っぽい表現とか合わないかなとも思ったんですが(今回でいう“道端ひれ伏すような酩酊の夜明けこそ”とか)結構下世話だったり残酷な表現も多い懐の深い作品なので、意外とamazarashiマッチしてるんじゃないかと勝手に思ってます。

13.ヒーロー

怠け者のわいは、ついついヒーローだったら頑張れるのになとか考えてしまいます。でも世界の危機にこそ、逆境のときにこそ立ち上がるのがヒーローだとするなら、今なら奮い立つことで誰もがヒーローになれるんじゃないか、というところから作りはじめた歌です。わりとゆったりめの曲調でデモを作ってたんですけど、アレンジでアッパーにして、よりパキッと、奮い立つ感じになってかっこよい曲に仕上がりました。

14.つじつま合わせに生まれた僕等(2017)

ベストを出すならこれを入れて、MVを作ってまた世の中に送り出そうと大分前から決めてました。これが入ってたインディー版があんまり売れなかったので。なんか納得できなくて。もっと沢山の人が好きになってくれる曲だと思ってます。今回、いつものライブメンバーで再録しました。一発録りなのでよりライブの感じに近く、今のamazarashiをおさめるという意味でも重要な意味合いがあります。
あと、この曲の原曲も収録されているのは、よくベストとかでアレンジバージョンとかリテイクバージョンとかでがっかりする場合があるじゃないですか。わいも経験あるんですけど。そういう事態を避けたかったという理由です。amazarashiの成長と、それと共に失ったものを感じてもらえたら。