amazarashi「ねえママ あなたの言うとおり」詩集

パーフェクトライフ

風吹いて梢が揺れたのだ
悲しい出来事に君は泣いたのだ

だから僕は悲しみの最中では
「梢が揺れた」
と思うんだ

枕で嗚咽を塞いだ日には
「梢が揺れた」
と考えるんだ

僕らの幹はやせ細り
それでもなお夢想深く根をはり
風のない穏やかな日には
軽々しく歌を歌うのだ
完璧な人生を歌うのだ

嵐がくるぞと野犬が吠えて
南にそぞろ暗雲が
僕はいっそう密やかに
完璧な人生を歌うのだ
「梢が揺れた」
と歌うのだ